2025年11月 ステップ12 「メッセージを伝える」ことの意味を考える

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はじめに

11月30日(日)に開催予定の『Not-God』スタディ・ミーティングの資料が完成し、ホームページに公開することができました。

今年の秋は仕事が忙しく、土日は子どもの行事や外出で予定が埋まり、特に11月は疲れが溜まっていました。

そんな日々の中でも、月に一度のコーナーストーンのミーティングでGAメンバーと語り合う時間は、私にとって楽しみでもあります。

今回のミーティングでは、ステップ12「メッセージを伝える」をテーマに話し合いました。このブログでは、そこでの気づきや、自分自身の振り返りを共有したいと思います。

AAとGAのステップ12の違い

まず最初に取り上げたのは、AAのステップ12とGAのステップ12の違いについてです。

AAのステップ12は
「これらのステップを経た結果、私たちは霊的に目覚め…」
と始まります。

一方、GAのステップ12は
「私たちのすべてのことにこの原理を実行しようと努力を続け…」
と記され、「霊的に目覚め」という言葉が含まれていません。

この違いには歴史的な背景があります。GAの初期メンバーの一人に無神論者がいて、その人物がGAの創始者ジム・Wを説得し、ステップ3・5・6から「神」という語を削除し、さらにステップ12からも「霊的に目覚め」という言葉を削ったと言われています。1

ただ、私自身の経験を振り返ると、ギャンブルの問題をどうにかしようと、自己啓発、心理学、医学的なアプローチなど、試せるものは一通り試しましたが、どれもうまくいきませんでした。
最後に霊的な手段を試してみたところ、ようやく助かることができたのです。

GAが宗教色を排した背景には他にも理由があると思います。
それでも私は、「霊的目覚め」という言葉があるかどうかに関わらず、ギャンブルの問題から本気で回復していくためには、何らかの内面的な変化が不可欠だと感じています。

もちろんこれは私個人の体験ですが、私にとっては霊的な側面が回復の大きな鍵になりました。

メッセージを伝える第一歩

ステップ12は「ほかの強迫的ギャンブラーにメッセージを伝える」ステップです。しかし、ここで忘れてはならない大切なポイントがあります。

私たちは、他の人に“回復したい”という意欲を持たせることはできない。2

その意欲は、本人がギャンブルの問題を通して痛みを経験し、自分自身で育てていくしかありません。

私も、まだ他の方法に望みをつないでいた頃にGAへ行ったとしても、おそらく本気にはなれなかったと思います。そもそもGAに来ることさえなかったかもしれません。

最初に参加したグループには、ステップに取り組んでいるメンバーはいませんでしたが、皆が自分の苦しみを率直に語っていました。その姿を見たとき、私は初めて「自分も同じ問題を抱えている」と認めることができました。今振り返ると、それが私の回復の入り口でした。

つまり、私たちができることはとてもシンプルです。

自分の経験や弱さを正直に分かち合い、「あなたと同じです」と伝えること。3

立派な回復者として完璧な姿を見せるのではなく、正直な自分をさらけ出すことがメッセージの第一歩なのだと感じています。

おわりに

これまでコーナーストーンのミーティングでは、ジョー・マキュー著『回復の「ステップ」』をテキストに、議論や質問をとおして理解を深め、ステップワークに役立ててきました。

この書籍がそろそろ一巡するため、次に扱う題材をメンバーで話し合った結果、来年からはGAのテキストSharing Recovery Through Gamblers Anonymousを土台にミーティングを進めていく予定です。

このテキストはJICから抜粋版が出ていますが、まだ日本語としてまとまったものがありません。そこで、グループのメンバーが翻訳を少しずつ進めてくれており、その協力にとても助けられています。

また、GAの歴史についても、ミーティングの中で取り上げていく計画です。GAがどのように生まれ、どんな経緯で現在のプログラムが形作られたのかを知ることで、AAとの違いもよりはっきりしてくると思います。


  1. Gamblers Anonymous「Gamblers Anonymous The First Forrty Years」(Gamblers Anonymous, International Service Office、1999年)p.7 ↩︎
  2. ジョー・マキュー、依存症からの回復研究会訳『回復の「ステップ」-依存症から回復する12ステップ・ガイド』(一般社団法人セレニティ・プログラム、2008年)p.162 ↩︎
  3. ジョー前掲(注2)p.164 ↩︎
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