ステップ8・9 埋め合わせの目的

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はじめに

今月のミーティングには、新たに四国のGAメンバーが参加してくれました。

昨年12月の記事にも書きましたが、私たちがオンラインでミーティングを行っている目的のひとつは、地方に住んでいるために12ステップを学ぶ機会がないメンバーや、「言いっ放し聞きっ放し」のミーティングでギャンブルをやめることができなかったメンバーにプログラムの原理を伝えるためです。

月に一回のミーティングで上記の目標を達成することは困難であることは承知していますが、それでも誰かがそのような場やきっかけを提供することが必要だと考えて運営をしています。また、それが地方に住んでいる運営メンバー自身のためにもなっています。

地方にはグループがあってもメンバー数は非常に少ないのが現状です。私が以前に所属していた滋賀のグループ(ここは、私が滋賀から2年間離れている間になってしまったのですが)は、薬物の回復施設からの参加者以外は私ひとりだけという時期もありました。

私は、地方と関東の両方のグループに所属していましたが、地方のグループは孤立していて情報が全く入ってきませんし、逆に関東のグループは地方のそういった現状を知りません。もちろん、私が知っているのはごく一部ですが、GA全体の構造的な問題なのではないかと思います。

そんな中、コーナーストーンのミーティングには関東と各地方のメンバーがそれぞれ参加してくれていますので、情報交換や両者のフェローシップの場にもなっています。それが、求められているかはともかく、地方のGAメンバーが孤立せずに必要な情報にアクセスできる場にもしていきたいと思っています。

埋め合わせの目的

さて、ミーティングでは、ジョー・マキューの『回復の「ステップ」-依存症から回復する12ステップ・ガイド』をもとにディスカッションをしていますが、ようやくステップ8とステップ9まできました。

ステップ8とステップ9については、ビッグブックの110ページから121ページまでに具体的な指示があるので、埋め合わせをやる気になれるかどうかはともかく、何をすればいいのかわからない、ということはあまりないかもしれません。

しかし、他のステップでもそうなのですが、ステップに取り組む方法や手段よりも、その目的をきちんと理解することが大切です。極端な話をすれば、目的地にたどり着くことができるのであれば、その行き方は何だってよいのです。

そして、(私がそうだったのですが、)ステップ8とステップ9でおこなう埋め合わせは、目的が勘違いされやすいのではないかと思います。では、埋め合わせの目的とはいったい何なのでしょうか。

ここでは、次のことを確認し、はっきりさせておかなければならない。私たちはこうした埋め合わせを自分自身のために行っているのであり、埋め合わせをする相手のためにしているのではないということである。1

相手のためではなく、自分のために埋め合わせをするというのは、自己中心的なのではないか、と感じる人もいるかもしれません。

埋め合わせをすることで、過去に傷つけた人たちから許してもらったり、相手からよく思われるようになりたいと考えがちですが、実はそれは埋め合わせの目的ではないのです。

もちろん、結果的に相手との人間関係がよくなればベストですが、仮に許してもらえなかったり、関係を改善できなかったとしても、それだけで埋め合わせが失敗したとは判断しないのです。

私たちは自分を神から遠ざけている障壁を取り除こうとしているのだ。これらのステップを行うのは自分自身の回復のためである。ステップが他人にとってどんな役に立つかということは考えていない。私たちの目的はそこにはない。2

前回、図をつかって説明をしましたが、私たちは、神との間に障害物があるため、神の意志を受け取ることができない状態になってしまっています。

埋め合わせは、この障害物のひとつである罪悪感や後悔を取り除くためにやっています。

ジョー・マキューは、たとえ具体的に埋め合わせができなくても、進んでやろうという気持ちになるだけで、自分を縛りつけてきた罪悪感や後悔から解放されるといっています。3

もちろん、手抜きの埋め合わせでいいというわけではありません。しかし、相手から許してもらったり、人間関係が再構築できるまで埋め合わをやり続けないといけないというわけではではなく、私たちの側が埋め合わせとしてやるべきことができればそれでよいのです。

私たちが埋め合わせでやるべきことや押さえておくべきポイントについては、また次回以降に考えていくことになると思います。

おわりに

ミーティングでは、スポンサーとしてスポンシーの埋め合わせの計画を聞くと、心配になることが多いというような話になりました。

その理由は、埋め合わせの相手に対して、ギャンブルで迷惑をかけてしまったことに対する言い訳や、回復するために自分がしている努力をアピールするような話をしようとするからというものです。

これはビッグブックでは指示されていないことですが、埋め合わせの前に、リハーサルをしてみたり、手紙に相手に話す内容を書いてチェックしてみたりと、各メンバーいろいろと工夫されていることがわかりました。

実際に埋め合わせをするときは、緊張もしますし、相手と話すだけで精一杯ということがほとんどですので、事前に考えていたことを予定どおりに話すことは難しいでしょう。

しかし、何のためにやっているのかという目的さえきちんと理解できていれば、間違った方向には進まないのではないかと思います。

次回のミーティングは、4月9日(水)21:00~です。みなさんとお会いできることを楽しみにしています。


  1. ジョー・マキュー、依存症からの回復研究会訳『回復の「ステップ」-依存症から回復する12ステップ・ガイド』(一般社団法人セレニティ・プログラム、2008年)p.115 ↩︎
  2. ジョー前掲(注1)p.115 ↩︎
  3. ジョー前掲(注1)p.115 ↩︎
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