はじめに
まずは告知です。6月29日(日)21時から、アーネスト・カーツの著書 『Not-God – A History of Alcoholics Anonymous』の日本語訳『アルコホーリクス・アノニマスの歴史』のスタディ・ミーティングを開催します。ミーティングの詳細については、こちらの記事をご参照ください。
はじめは5月頃に開催を予定していましたが、3月末から仕事の引継ぎや自宅の引っ越しなどで、思うように準備が進んでいませんので1か月開催を遅らせました。仕事や家庭生活が忙しくもそれなりに送れているのは有難いことですが、なかなか物事が予定どおりに進まずに焦っています。また、GAメンバーとしての活動にしわ寄せしてしまっていることに情けなくも思っています。
第1回目は、「第二部 解釈」の「はじめに」と「第七章 米国史のより広い文脈で」の要点を解説していこうと思っていますので、ぜひご参加ください。
さて、今月の通常ミーティングは、ステップ8とステップ9の埋め合わせの続きです。
埋め合わせのタイミング
埋め合わせのタイミングをどう計るかについては、神におまかせすればいい。今すぐ全部済ませてしまおうと限界までがんばってしまうような勘違いをする人もあれば、逆にまったく何もしようとしない人もいる。1
ステップ6とステップ7で、自分の努力によって欠点を取り除くことはできず、また、スピリチュアルな変化や成長のタイミングは自分の都合でコントロールすることはできない、という記事を書きました。これはステップ8とステップ9の埋め合わせでも同様です。
ジョー・マキューは、埋め合わせを始めるにあたって、埋め合わせの相手を「すぐに行う」「後で行う」「行うかどうかわからない」「行わない」の4つのリストに分類して「すぐに行う」リストの人たちから順に埋め合わせをしていくことを提案しています。

また、埋め合わせリストをつくったり、埋め合わせに行くときには、スポンサーと相談しながらどのような埋め合わせをするのかを決めていく場合が多いと思います。このようにある程度までは、理性の力を使って進んでいくことになります。
しかし、ミーティングでも、もう会えないと思っていた人に突然会えたという話をしてくれたメンバーもいましたが、実際には、埋め合わせをするタイミングは神が与えてくれます。
そういったチャンスを逃さないために、私たちができることは、進んで埋め合わせをしようという気持ちになることであり、その場が来たときには、実際に埋め合わせをやってみるという行動をすることです。
完璧な埋め合わせはできない
私たちは自分が行ったあらゆることに100%しっかり埋め合わせをしようという気持ちにならないといけないが、その一方で、すべての埋め合わせをするには一生かかるということを同時に理解していなければならない。2
実際に埋め合わせをするときに、冷静に落ち着いて相手と話すことができるでしょうか?もちろん、準備していたとおりに相手ときちんと話ができればベストですが、動揺してしどろもどろになりながら話すのが精一杯という場合も多いのではないかと思います。
では、準備していたとおりに出来なければ埋め合わせが失敗だったかというと、必ずしもそうではありません。もちろん、自分本位の埋め合わせではなく、自分の誤りを認めて相手に謝罪をすること、借金などがある場合には返済の約束をすることなど、基本的なポイントはおさえておく必要があります。
しかし、どこまで埋め合わせをがんばっても自分が過去にしたことはなかったことにはできませんし、過去の出来事に対しての責任は背負って生きていかなければなりません。
また、相手が亡くなっていたり、居場所がわからなかったり、他人を傷つけてしまうような場合など、どうしてもできない埋め合わせもあります。
つまり、私たちは一生かかってもすべての埋め合わせを完璧にすることはできないのです。それでは、罪悪感や後悔はなくならないのではないかという反論もありそうですが、私はそれでよいと思っています。
なぜなら、埋め合わせをして過去を完璧に正すことができるのであれば、私たちはまた自分の意志だけに基づいて、何もかも自分でコントロールするという自己中心的な「古い生き方」に戻ってしまうからです。過去の私たちは、(今でもそうなのですが、)自分の力だけで何もかもやろうとして、自分を神と他人から引き離してきました。
私たちは、自分が不完全な存在であるということを受け入れてはじめて、神や他人を頼るという「新しい生き方」ができるようになっていくのだと思います。
おわりに
はじめにプライベートが忙しいという話を書きましたが、その間にもトランプ関税の影響で株や為替市場が乱高下したり、オンラインカジノ問題がニュースを騒がせたりしています。(わたしは、FXや仮想通貨を主戦場としていました…。)
一方で、GAに関係する団体のギャマノンの分裂騒動があったりとGAを取り巻く環境も大きく変化してきています。
そんな中、私たちにできることは今この瞬間にもギャンブルの問題で苦しんでいる人にメッセージを届けることであり、プログラムの原理を学ぶ場を用意することだと考えています。
できることは僅かですが、引き続き取り組んでいこうと思いますので、よろしくお願いします。
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